パソコンを相手にセラピープログラムを受ける時代が到来?
CASTプログラム
フロリダ州立大学の研究によると、CASTと呼ばれる不安感受性に対するコンピュータベースの単純なアプローチで、自殺のリスクを下げられることがわかったとのこと。
このCAST(Cognitive Anxiety Sensitivity Treatment)は、45分間の間に、ビデオや正誤問題などのコンテンツが含まれており、内容は、人間の不安な状態というものがどういうものなのかを理解させるものになっています。
たとえば、観念奔逸(考えが次々と方向も決まらずにほとばしり出る状態)や集中力の欠如、何か悪いことが起きるのではないかという考えなどといった症状を説明するわけです。
実験とその結果
実験では、108人の被験者のうち半分にこのCASTプログラムを、残り半分には健康的なライフスタイルについてのプログラムをやってもらい、プログラムの前後に不安感受性のレベルをテストしてもらいました。
結果として、CASTプログラムを受けた群は健康的なライフスタイルについてのプログラムを受けた群よりも大きく不安感受性のレベルが下がっていました。
なにより重要なことは、この不安感受性の減少の仕方が、セラピストたちによる試みの結果と非常に似ているということです!
セラピストか、コンピュータか。
セラピストにはもちろんセラピストなりのメリットがあります。
しかし、熟練したセラピストにそれなりのお金を払ってセラピーを受ける、という選択肢だけでなく、コンピュータべ―スのプログラムを受けることによって、安価に、自由に、ある程度まで不安を取り除ける、ということがわかったわけです。
このCASTプログラムは、心理学の専門家やセラピストなどは一切必要なく、ただコンピュータでプログラムにアクセスするだけでよいので、現在こうしたセラピーを受けられない人にとっては、非常にありがたい話ですね。
セラピーとしてみるのではなく、一種のE-Learningとして見た方がよいかもしれません。
まだまだ小規模な臨床試験しか行われていないので、実用化まで色々とあるかとは思いますが、希望の持てる話です。
心について知ることの効果
また、この実験結果を別の角度から捉え直すと、人間について、心について”知る”ということが、自らの不安を取り除くことに繋がる、ということでもあります。
ここで発信している情報も、CASTプログラムに負けず劣らずの効果があるかもしれませんよ。笑
今後、さまざまな面で、心をコントロールするためのプログラムが出来上がり、広がっていけば、より多くの人が自由に、自律的に生きられる世の中に繋がるのではないかなぁ、と思います。
一方で、機械につながれた人間を思い浮かべてぞっとする人もいるかもしれませんが。
ではではまた。