心を捉える視点について
<様々な視点から捉え直す方法>
- いろいろな人に向かって説明してみる(相手は想像でも可)
- 自分が嘘をつきそうなところをリストアップしておく
- 感情のリストを作っておいて見る
- 願望のリストを作っておいて見る
- 欲求のリストを見る etc...
自分を捉え直す。誰かの心を理解する。
そうすることで、今抱えている問題を乗り越えられることは、本当によくあることです。
じゃあ、具体的にどうすればいいの?と言われると、なかなかピンと来ないんではないでしょうか。
そうなんです。「心」には、本当にさまざまな側面があります。
その全てを体系的に理解しようと思うととても大変ですが、いくつか重要な観点を頭に入れておくことで、ずいぶんとすっきり見えてくる様になります。
今回は、主に自分の心を捉える際に役に立つ、実用的な方法について書いていきます。
(心理学の性格分類とかそういうのとはまた別です)
質問リストを作っておく
先ほど、いくつか重要な観点を頭に入れておく、と言いましたが、もっともわかりやすいのが、自分にとって重要な観点をリストにしておくことです。
これが最も思いつきやすいものでしょう。てっとり早く視点を変えるには、言葉を使うのが最も有効です。
自分の気持ちや考えを明らかにする質問や視点、それらを含んだ言葉やものごとは無数にあります。ですが、
時間はには限りがあります。
なにより、
自分の状態に適した質問の質や量があります。
多すぎてもダメ、難しすぎてもダメなんです。
だから、ここで重要なことは、その”適した質問”というものを自分の中で見つけてリスト化しておくことです。
本を読んでいていいな、と思った観点。ふだん生活していて、これは!と思った観点。そうしたものを、まとめておくと良いでしょう。
ですが、ここでは参考までに、自己をコントロールできているかを捉え直すための質問のリストをご紹介致します。
そもそも、人がコントロールを失う場合、そこにはどんな原因があるでしょうか?
そんなに難しい問いではありませんね。答えは、
抑えきれない程の欲求や願望があるとき
です。そして、いつ人がコントロールを失ったと感じるかといえば、それは、
その人にとって”コントロールできている”感じる状態から外れたとき
です。つまり、
その人の”自分のコントロール”に関わる価値観や信念、あるいはイメージにもとづいて、自分の”コントロールできている”という感覚ができあがる
のです。あるいは、”こうありたい”と願う状態に対して現実がそうならないとき、人は自分をもっとコントロールしたいと感じるようになるのです。
だからここでは、自分の価値観や信念、理想のイメージや、願望、欲求といった観点から自らを見ていくことが、非常に効率的だといえるでしょう。
価値観や信念のリストを見る
価値観や信念と言われて、どのようなことを思い浮かべますか?「嘘をつかない」とか、「人に迷惑をかけない」とか、「ポジティブに生きる」とか、そういったものが多いと思います。もちろん、それで構いません。
ですが、もしできるなら、それを何とかリストにしてみてください。
俗に言う、ミッションなどの形でも構いません。
ただし、ここで注意事項があります。それは、
自分がこういう価値観や信念を持ちたい、という将来の姿と、いま、現実の自分の姿をしっかりと区別する
ということです。
自らの信念や価値観というと、どうしてもポジティブで響きのよいものに焦点を絞りがちです。もちろん、将来実現していたい理想的な価値観や信念をリストに加えるのはよいのです。
しかし、今、現実にあなたが気にしてしまっている感覚を無視してはいけません。人間はポジティブな側面よりもネガティブな側面を記憶し、回避するものです。
「嘘をつかない」「人に迷惑をかけない」
も、実は
「嘘をつかれて嫌だった」「迷惑をかけられてその人を嫌いになった」
という過去の経験が積み重なって、徐々に価値観として出来上がってきたのではないですか?
そんな風にできた好き・嫌いも、あなたの持っている立派な価値観です。
それは、「お皿は洗ったらすぐにふかないと気持ち悪い」とか、人からみればすごくとるに足らないことかも知れません。ですが、そうした価値観を持っている自分を受け入れてください。そして、自分の一部として、リストに書いていってください。
人間は、矛盾した生き物です。正確にいえば、あらゆる信念と価値観は矛盾しています。「嘘をつかない」と「人にやさしくする」でさえときには矛盾してしまうのですから。
ですが、自分がどういう人間か知っていれば、あなたは自分の矛盾してしまう状況を、少しずつ減らしていけます。同時に、自分が理解できないと思っている相手をも、より理解できるようにしてくれます。
1つでも2つでも構いません。価値観や信念をリストにしたら、最後に、その価値観の中で一番重要なのは何かを決めてください。次に大事なものを決めてください。
もちろんすぐに決まるものではありませんし、時間が立てば入れ替わります。でも、いま、一時的にでもどうなのかを決めてください。
そうして、ある程度順番をつけたら、今のあなたがどんな状態で、何をしていたのかを振り返ってみてください。きっと、今まで見えなかったたくさんのことが見えてくると思います。
願望のリストを見る
かんたんに言えば、これやりたい!こうなりたい!をリストにしたものです。
これも、先の価値観のリストに近いです。が、最も大きな違いは、まだ見ぬ将来についてのみについて書かれているリストであるということです。もちろん、願望を持っているのは今ですが。
このリストにはたとえば、海外旅行に行く、とか、親孝行する、とか、常に美味しいごはんを食べていたい、とか、ありふれたことでも構いませんし、グローバルカンパニーを作る、とか、ベストセラー作家になる、宇宙に住みたい、とか野心的なことでも構いません。
細かいことが気にならない人間になる、とか、執着のない人間になる、とか、将来の価値観についてでもいいでしょう。
自分が望んだことのあることを片っ端から書いてみてください。何かあるかな?と思って、一瞬でも頭によぎったら、諦めて全部書いてください。
他の望みと比較したり、世間体を気にしたり、実現可能性を考えたり、といったことを無意識にしてしまい、すぐになかったことにされてしまったかもしれませんが、それもあなたの一部です。
自分の頭の中にある、望みや価値観などの争いを、全部描き出すつもりでリストにしましょう。見つかりそうで見つからない願望を探し当てるゲームくらいのつもりで。
最後に、やはり優先順位をつけます。まぁベスト5くらいつけれればいいと思います。難しいですが。
もちろん、気が向いたら書き換えても構いません。そういうものです。
いったん作ったら、このリストは、自分の状態を知る上でやはりとても重要な手がかりになります。自分の願望と優先順位が明らかになると、多くの場合、現状とのギャップが明確になり、課題ややるべきことも見えますし、現状、何に不安や不満を感じて心が散らかった状態になってしまっているのかが明らかになります。
感情のリストを見る
あなたは、自分にとって感情ってなんだと思いますか。
先ほど挙げた価値観や信念、願望もそうですが、これらは突き詰めると目的ではありません。人が生きる上で、目的として無意識に求めているのは、この”感情”や、あるいは一般に”気持ち”と表現されるものだといえます。少なくとも主観的なレベルでは。
たとえば、美味しいものを食べたい、というのは、美味しいと感じたときの感情を目的としているのであり、もしそこで”美味しさ”に対する喜びも快も幸福感も感じないとしたら、望んだりはしないでしょう。
ネガティブな感情を避ける際も同じです。恥を感じなければ、あなたはどんな生き方をしていたでしょうか?このように、感情とは、自分を捉える上で非常に重要な要素だと言えます。
さて、実は、感情というのは非常に表現が難しいのです。喜怒哀楽などの基本的な感情は感じ取り、表現できるかもしれませんが、だいたいの場合、感情というのは入り交じっています。それをできるだけ正確に捉えるために、感情を見ることは非常に有効です。一例として、Wikipediaの感情の一覧を紹介しておきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9F%E6%83%85%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
もちろん、自分なりの感情の表現を作ってリストにしても構いません。
感情について、詳しくは、別の機会にもっと詳しくお伝えしたいと思います。これを機会に、ぜひ感情とは何かについて考えてみてください。
欲求のリストを見る
実際のところ、価値観や信念、願望と、この欲求というのは、本質的には同じものです。ですが、欲求という観点で見ると、また違った形で見えてくることも確かです。感情もそうですが、欲求という観点は、それなりに学問的に研究されているので、これも先人たちがすでに苦労してリストアップしてくれています。参考までに、欲求の分類を紹介しておきます。
http://rzt.sakura.ne.jp/shinri/001050/001308/ 有名なマレーの社会的欲求の分類の日本語訳を紹介しているページ
http://www002.upp.so-net.ne.jp/self/elements/desire/desire28.html 有名なマレーの分類の日本語訳と斎藤勇の分類を紹介しているページ
ただし、マレーの分類については翻訳にばらつきがありますので、
http://allpsych.com/personalitysynopsis/murray.html マレーの社会的欲求の分類 英語版
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%B2%E6%B1%82 Wikipedia 欲求
興味がある人向け↓
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007045147/ 欲求の分類についての斎藤勇、萩野七重の論文
http://58.5.157.26/dspace/handle/10285/2806 マズローの基本的欲求の階層図の問題について論じている論文
もちろん、このリストではしっくりこないこともあるでしょうし、見ての通り、複数存在します。完璧ではありません。やはり自分なりの言葉で表現したものを用いてリストを作ることもぜひやってください。
このリストを見ることで、自分が今まで気づかなかったような、無意識に目を背けてきたような部分がかなり見えてくると思います。
自分が嘘をつきそうなところをリストアップしておく
これは少し応用編ですね。毎回欲求や感情のリストを見たり、価値観を振り返ったりしてもいいのですが、時間がかかります。
ですから、普段から自分を意識していて、「あ、今自分に嘘ついたな」と思った部分をリストアップしておくと、やりたいことをやっているはずなのに楽しくない、とか、不安がないはずなのに不安、などといった状態のとき、特に役に立ちます。
よくあるのは、自分のプライドを無意識に守って、事実や状況を無視したり、優先度の高い価値観や願望の実現に反する欲求や感情を無視したり、といった場面でしょう。
嫉妬や羨望など、社会的に受け入れられにくい感情がある場合は、特にさまざまな嘘を自分についていることが多いです。
無視はいけません。事実を受け入れた上で、選択しましょう。
環境を変えてみる
環境とは、自分の周りにあるあらゆるもののことです。
上司や友人など社会的な環境かもしれないし、椅子や照明など物理的な環境かもしれません。
環境は、意識的にも無意識的にも非常に強い影響を、絶えずあなたに与えています。
とにかく、自分の心と身体に作用するあらゆるものに意識を向け、重要だと思うものを変えてみましょう。
これまでとは全く異なる感覚で自分の気持ちを捉えられること請け合いです。
身体の使い方を変えてみる
環境を変えることと同様に、身体の使い方はあなたの心に大きく作用します。
気持ちを変える行動をとるで更に詳しくお話しますが、姿勢、呼吸、表情を変えるだけで随分と気持ちや考えが変わってきます。
身体を動かせば、更に大きな変化があります。気持ちや考えが変化しても今の自分であることは変わりないわけですから、新たな側面を見つめることができる、というわけです。
また、同じ自分の状態を捉えるにしても、気持ちや考えの前提が違うと、捉え方が全く異なります。
この身体の使い方を変える、というのは、単に自分の気持ちや考えを捉えるときだけでなく、ふだんから行っていくことを特におすすめします。
いろいろな人に向かって説明してみる(相手は想像でも可)
自分一人で考えていると、無意識に自分の視点を制限してしまいます。
ですが、他の誰かをイメージして、その人の視点で捉えようとすると、思っても見なかった新たな視点で自分を捉えられることがよくあります。
また、相手に説明しようとすると、細かなところで見栄をはったりして嘘をつこうとし始めます。
すると、自分がふだん、どんなところで自分の気持ちや思考に制限をかけているのか、というのが徐々に明確になってきます。
だれかをイメージして説明してみる、というのは、新たな視点を得たい、あらゆる場面で有効な方法といえるでしょう。
ビジネスで使うフレームワークを応用する
ビジネスのフレームワークはたくさんありますが、特にロジックツリーやKJ法などは思考全体について汎用性が高いです。
他にも、自分の将来のイメージが漠然としていて整理できない、という場合であれば、自分を一つの会社、あるいは商品に見立てて、あの手この手で分析をし、何らかのひらめきを得ることができます。
すべてを使いこなせる人はなかなかいないでしょうし、自分の気持ちや考えを正確に写しとる、という場面で直接的に効果を発揮する、というわけではありません。
しかし、少なくとも考えを整理することはできるし、無意識に想像している将来についてのイメージを明確化し、それらを吟味することで、気持ちの整理をすることもできます。
すでにいくつかのフレームワークを使いこなしている場合は、そうした部分を足がかりに、ツールを増やしていってください。
ビジネスで必要な思考力・思考方法・思考ツールのまとめ - NAVER まとめ
参考にしてください。
最後に
長くなりましたが、いかがでしたか。何かしら使えそうなものがあったのであれば幸いです。